忘却

以前いつ見たのだか覚えてない
undoを見た。
何を言おうとこれは、縛り合ってもほどけてもいない
相互の愛情の形の示し合いなだけなんだと思った。

※※※※※
わたしは三島由紀夫の戯曲で「班女」という作品が好きだ
独占と逃亡
積年と執着
想いと絶望
なんて愛しくて優しくて恐ろしい話なんだろうという衝撃が
作品を知ってから20年余経った今も痺れて仕方ない

※※※※※引用
マーセリン 破滅した世界に私と君だけ
幼い君は心細いだろう
私が傍に居てやりたい
でも今の私のままじゃいられない

魔法に生かされ おかしくなってゆく
君を救えない 私は救われない
許しておくれ こんな私を 君を忘れても

マーセリン 私が消えていくのを感じる
何故こんなことを言うのかわからない
でも君の泣き顔は憶えてる
私のせいじゃない 王冠のせいなんだ
魔法に生かされ おかしくなってゆく
君を救えない 私は救われない
許しておくれ こんな私を 君を忘れても

部屋で同居するし

真っ先に書くブログがこんなんでどうかとも思うけど、
吐き出して、掃き出してしまいたいから。


たまに行く飲み屋の兄さんが亡くなった。
年上の方だけど、逝くには早いお年頃の方だ。
前日まではいつも通り元気に営業していて、
翌日、忘れ物を取りに来たお客さんが発見したんだそうだ。

わたしは少し早すぎるけど、何か心筋梗塞とかそういう急な病かと思っていたけど、
どうやらご自身で決められたらしい、と人伝に聞いた。

はっきり言って、その人のことはよく知らない。
ふわふわとした存在で、いつもにこにこしていて、でも、ご自身については多くは語らない。
ご自宅は、お店の上にあったのだと言う。
それさえも知らなかったし、興味なかった。

しかし、彼のしを知って、ふと思ったのだ。


酒に酔って、自宅に帰る。
いつも帰る部屋に、天井から下がる首縄がいつもあったら。
わたしはいつか、酔った勢いできっと首縄に首を入れてみるだろう。

そこで、いやいやなにやってんだ、と首縄から抜けて古いスプリングのベッドで眠って翌日を迎えるのがほとんどの日々なんだけれども、
ある時ふと、首縄に頼ってみちゃう、そんなときが来るような気がする。

独り暮らしの部屋には塵のようにしがいつもあるような気がして、
彼のしを知ってそれを意識せざるを得なくなった自分がいる。

恐いような、でもそこに向かっているような、
そんなよるだ。